二軒茶屋は田楽豆腐発症の茶屋と呼ばれております。
こだわりの合わせ味噌の豊かな風味と、やわらかい豆腐からなるこの田楽豆腐は
480年続く歴史の中、今も変わらず皆様に愛されている逸品でございます。
二軒茶屋ではお食事としてお召し上がりいただけます。
初めは単なる茶屋であったものが、追々に食べ物を商うようになり、
その内に豆腐の田楽や菜飯など有名になりました。
「雍州府志」にこの豆腐を「其風味淡脆他の及ぶ所に非ず」と讃められ、
「洛陽名所集」「京内めぐり」「京町鑑」などの案内所にも記され、
また文人墨客の間にも幾つかの狂詩がつくられています。
祇園豆腐の調理は、女が店頭でそれを薄く切ったものを竹串に刺し炙ったので、
その切る早業が今も伝えられていて、髪は両輪に結び、霰小紋の着物と黒繻子に、
こぼれ松葉の帯、緋染の服装で、俎上にのせた豆腐を切め七つに次いで
各々を三つ合計二十一片に拍子よく切り上げていくのは、
丁度豆腐料理のお店前か包丁さばきとでももうしましょうか、いかにも古風なものです。